2022年実績について
今回の通信は、最新の当院外来の実績をご報告いたします。
2022年(1月~12月)に当外来で妊娠された方は483名いらっしゃいました。
図1
図1は2022年に当外来でどのような治療を受けて妊娠されたのかをまとめたものです。約25%の方が排卵誘発やタイミング法で妊娠されています。AIH(人工授精)の妊娠は21.3%、ART(体外受精、顕微授精、融解胚移植)による妊娠は53.6%となっています。
2022年4月より不妊治療における保険適用が始まり,治療を始める方も増え、昨年よりも妊娠された人数が増加しています。グラフは昨年と同じように、ARTでの妊娠が過半数以上を占めていますが、子宮鏡や腹腔鏡手術(筋腫核出術など)もしくは慢性子宮内膜炎の治療により着床環境を整えてから移植をすることで妊娠に至った方が増えているからだと思われます。
★人工受精について
AIH(人工授精)は排卵日に、ご主人の精液から良好運動精子を取り出し、子宮の中に注入する方法です。
比較的自然に近い方法で、副作用の少ない治療です。
20~30代では30~40%の方が妊娠します。(図1)
原因不明の方、性交障害や軽度精子異常がある方が適応となります。
2022年4月より人工授精も保険適用になりました。一般不妊治療で保険適用に年齢制限はありません。
(体外受精は43歳未満が保険適用)
妊娠率は右の図1のように、40歳を過ぎると約5分の1に低下しています。また、人工授精は1~2回目の妊娠が多く5回目以降の妊娠は少なくなります。一般的に4~5回AIHを行っても妊娠しない場合、ステップアップが必要となります。
AIHの時に排卵しておらず2回目のAIHを施行することもあります。2回目は保険適用が効かず自費になりますが、2回目のAIHをすることで妊娠率の上昇が見込めます。
図1
★ART(体外受精、顕微授精、融解胚移植)について
上の図を見てみると、どの年齢層においても当院の妊娠率は全国平均より高くなっています。
~29歳の妊娠率が30~34歳より低いのは、反復不成功で複数回移植された患者様がいらっしゃったためで、実際は19人中15人が妊娠されたので人数あたりでは78.9%の妊娠率でした。
採卵周期は42歳がピークです。40歳過ぎると妊娠率が下がるため、採卵の回数は増加します。
40歳前に採卵を始めると、移植を6回するまではずっと保険がききます(採卵回数とは無関係)。
40歳を超えてARTを始めると移植を3回した後は自費となります。
35歳を過ぎた方はARTも視野に入れ、早めに ステップアップされることをお勧めします。