子宮筋腫と不妊症について
子宮筋腫とは子宮にできる良性の“こぶ”の事をいいます。
現在、女性の3人に1人はこの子宮筋腫を持っているといわれています。
子宮筋腫合併不妊症例の妊娠率は11%で、子宮筋腫合併のない不妊症患者の妊娠率25%に対して低い数字が出ています。
子宮筋腫は女性ホルモン「エストロゲン」の影響で少しずつ大きくなり、下記のように不妊の原因になることがあります。
「 しょう膜下筋腫 」
筋層の外側に発育した筋腫。
子宮内腔の影響は少ないため不妊の原因になることはまれといわれています。
「 筋層内筋腫 」
子宮筋層の間で大きくなる筋腫。
発育すると痛みや過多月経の症状が出ます。
大きさや場所により不妊の原因になることがあります。
「 粘膜下筋腫 」
子宮筋層の内側にできる筋腫。
大きさが小さくても痛みや出血などの症状がみられ、着床障害など不妊の原因になります。
では、どうして子宮筋腫があると妊娠しにくくなるのでしょう。
はっきりとしたことは判っていませんが、次のようなことが考えられます。
① 筋腫の圧迫により卵管の内腔が狭くなったり、つまってしまう。
② 卵管が引き伸ばされて、精子、卵子、受精卵、胚の輸送が阻害される。
③ 排卵した卵が卵管に入りづらくなる。
④ 子宮内腔にできると胚の着床を妨げる。
⑤ 子宮筋腫の核が子宮を収縮しやすくするため、流産、早産の原因となる。
⑥ 子宮内膜が圧迫されて血の流れが悪くなり、胚の発育に影響し妊娠しづらくなる。
子宮筋腫は良性の腫瘍ではありますが、次のような場合は手術の適応となります。
① 粘膜下筋腫
② 子宮筋腫以外に重大な不妊原因がなく、鶏卵大以上の筋腫がある場合
③ 妊娠しても流産・早産を繰り返ししてしまう場合
子宮筋腫を盛ったまま妊娠・出産される方がほとんどですが、まれに妊娠中に子宮が大きくなることで、子宮筋腫の組織がひきのばされ“変性”といって組織内の変化がおこり、痛みを引き起こす場合は妊娠中に手術の適応となります。
子宮筋腫と不妊の関連についてまだはっきりとしないところもありますが、治療法など診察医とよく相談し、疑問・不安などスタッフへお声かけ下さい。